ミッドナイトスワンを見た、ってツイートが私のツイート史上一番のいいねとRTをいただきましたw
いや、本当にとても良い映画でした。この映画は一応LGBTの方々は出てきますが、そこが題材なのではないと思う。つよぽんも言ってたけど、母になりたい、子を守りたいという気持ちに男も女も関係ないんじゃないですかね。
映画を見たあとに色々気になって小説を買いました。そこと合わせて「そうだったんだ」と思った部分を書いていったりしたいと思います。映画本編で言ってたけど、私があんまり記憶に残ってなくて「そうだっけ?」て思ってる部分もありますが、そこらへんは生暖かい目で・・
映画本編の感想ではないけど、壮大にネタバレしているので出来れば映画を見てから見ていただければと思います
瑞貴と仲が良い理由
これ本編でもやんわりと説明されてた気がするけど、スイートピー(ショーパブ)の中で凪沙と瑞貴が唯一「未工事」であり「中途入社」だという事。凪沙は30過ぎてから、瑞貴も最近になってこの世界に入っており、スイートピーの中ではまだ歴が浅い方だということから仲が良かったみたいです。
なんであんなお金貸したりしてんの?と思ってたけど、小説では二人でお茶したり飲みにいったり、泣きながら将来について語ったりとても仲が良い様子が書かれています。
一果を預かった理由
子供が嫌いな癖になんで預かったかというと、養育費目当て。手術を早くするために預かったらしい。しかし田舎のほうでも誰がお金をどれだけ出すかとかで揉めて、最初の一回しかお金がもらえなかったみたいですが。
一果が以前にバレエをやっていた?
映画では描かれないけど、地元で公園でバレエを教えてくれるおばあちゃんがいて、そこで習ったんだそう。近所の人に通報されて終わってしまったようです。そのおばあちゃんが昔スイスでバレエをやっていたらしく、その時の写真を見て一果はぼんやり外国への憧れがありました。
りんとの関係性
コンクールに出る費用がない、て一果がいったときにりんが個人撮影のバイトを勧めるけど、思ったより悪意なかったんだなという印象。もっと悪意バリバリですすめたのかと思ったけど、一果の才能は認めてて本当に一緒に出たかったんだなって。
そして元々若干男寄りのふるまいをする子っぽいですね。宝塚で言えば男役なんだろうな、みたいな。一果とワルツを踊る描写があるんだけど、それが終わった後にお姫様にするようにひざまづいてライバル宣言するシーンがある。なのであのキスにもつながったんかな。
個人的には病院でお母さんが「この子からバレエとったら何も残らないんです」って言ったのが印象残ってるわ。バレエなかったら何もないなんて言ったらダメでしょ。勝手に自分が出来なかった夢を娘に押し付けて。あの後りんは悪い友達とつるむようになって初体験までしちゃうのよ。「バレエ」っていうものがなかったら家族の形を保てないあの家も大概不幸だなと思います。
もう一人の母
実花先生もまた、一果のことを子供のように思っていました。
映画だと突然卒業式にきてレッスンしてる風に思うけど、実は東京から通いで広島にきて一果をレッスンしてたようです。それぐらい一果を育てたいと思っていた。
通いで、ってすごいよねwちなみに実花先生はバレエ教室だけじゃやってけなくて、レストランでバイトもしてました。なんかすごいリアリティあるわ・・
「お母さん」
一果がコンクールの決勝で固まってしまい、客席を見て「お母さん」とつぶやくシーン。
実際母である早織が見にきてて、凪沙はそこに「母と子」という絶対に割り込めない間柄に絶望してしまう。
しかしその後「お母さんと助けを呼んだのは本当は自分の事ではないのか?」と毎日考えるようになり、やがてそれは「そうだったに違いない」という思いにかわる。
実際私もこの時の「お母さん」は凪沙の事を呼んだんじゃないかな、と思う。
瑞貴のその後
映画では客を殴って逮捕されてから出てきませんが、その後一念発起して行政書士の資格をとり、区議に立候補します。元々頭がよかったので凪沙とかママに「政治家になれば?」と言われていたけど、本当にその道を目指すことに。そして凪沙から借りてたお金を返し、そのお金で凪沙は性転換手術を受けに行きます。
術後処置
なりたくて女性になったのになんで術後処理を怠った?と思っていたけど、あの時の凪沙にとっては一果の母親になることがすべてで、一果が答えてくれなかった事で打ちのめされて自暴自棄になりました。そこから引きこもり、スイートピーにもいかなくなり、あの状態になる。見かねた瑞貴が市役所に掛け合って生活保護を受け、ボランティアにおむつを替えてもらったりしながら生きながらえてたみたいです。
といっても一果も中学生でしょ?その歳で急に来られてそんな重大な答え出せないよね。なんだかんだ母親の事も嫌いにはなれなかったみたいだし。実際広島戻ってからはちゃんと働いて育ててくれてたみたいだし。凪沙との連絡は早織によって断たれてたから急にならざるを得なかったんだけどね。
一果が海に入るシーン
あれ正直「え?どうしたどうした??」て思ってたんだけど、あの時は死ぬ気でりんと凪沙の元へ行くつもりだったらしい。でも飛び立つ白鳥を見て思いとどまった。ちょっとあれは映画ではわからんかったなあ。
早織の印象
映画だと「まぁわからんでもない」と思ってました。手が出るのは良くないけど、シングルで働きながら子供を育てるって大変よ。自分の感情がコントロールできなくもなるわな、みたいな。そもそも私が普通に扶養もなくて生きてるけど毎日ヒィヒィいってんだから子供いたらそら大変よw
ただ小説版のほうが悪いお母さんに書かれてる感じするなぁ。公園でバレエ習ってたのも禁止ししたり、とにかく「自分の知らないものに夢中になって子供が離れていくのを感じるのが嫌」て感じ。東京に迎えに来た時も一果があまり広島弁を話さなくて「話し方が気持ち悪い」て言ったり。広島に連れ帰ってからもバレエは禁止していたけどあまりにも禁止すると家出しそうだから、みたいな理由で実花先生のレッスンは許してた。子供が離れるのが寂しいんだろうね。10代にできた時の子供だから、早織も大人になりきれてないんだろうなぁ。
小説版読んでよかった!
最初は男に騙されていることをわかっていながらも風俗に堕ちた瑞貴が前を向いて歩き、その瑞貴をずっと応援していた凪沙が絶望して終わってしまうのが切ない。
正直この二人だけでも話一本できるのでは・・と思う。
小説版だと凪沙の過去の恋人の話が出てきたり、働いてた物流倉庫の人に淡い好意を抱いていたりするシーンも出てきます。またこの物流倉庫の人が会社の飲み会をやっているときに女の恰好をしている凪沙と出くわすけど、上司に見えないようにしてくれたり会社で会っても普通に接してくれてめっちゃいい人。凪沙も幸せになってほしかったなあ。
ちなみに小説版は海に行ったところで終わりで、一果の留学のところはないです。エンドロール後の一枚絵、可愛くていいよねぇ。あれすごく好き!
私は子供がいないから凪沙の気持ちもわかるし、子供がいないからまだ子供気分で一果の気持ちもわかるし、いい歳だから早織の気持ちもわかる。全員ふんわり「わかるわ」みたいなところがあって全方位に感情移入しすぎてめっちゃ泣きましたわ・・
小説読まなくても映画だけで全然意味は伝わったけど、小説読むとバックボーンがわかるので興味あれば読んで欲しいなあ。そんなに長くないので、結構サクッと読めます。
これ読んだ上でもう一回見に行こうかなって思ってます。
まだ見てない方は(こんなネタバレ見る時点で居ないと思うけど・・)是非見てほしいです。とても美しく、切なく、でも見た後嫌な気持ちにならない素敵なお話です。
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